『進撃の巨人』23巻感想ー広がる世界。自由の形。
「進撃の巨人」23巻が発売されたので感想を。
22巻の感想で書いた疑問(謎)の答えが結構出てきた巻になってました。
個人的にはすごく面白かった!!
次の展開への期待が高まる内容となりました。
まずは表紙の「誰だ? こいつら!?」から
22巻感想では青い表紙デザインがすごくいいと書いたのですが、23巻表紙は「進撃の巨人」らしいこってりとした表紙に。
で、「誰? こいつら?」
となるわけですが、読み始めても知らないキャラクターが戦っていて「誰これ、何これ?」状態。
結論からいうと、パラディ島から離れた大陸の、4年後のお話です。
ネクスト世代の巨人候補達と渋いおじさんに成長したライナー達のお話。
パラディ島~マーレ~広がる世界。
22巻で、パラデイ島を離れた大陸でのエルディア人の大国マーレによる支配が描かれました。
22巻読了時ではマーレは超大国。超軍事国家、支配国家というイメージを持っていました。
確かにそれは間違いではないのですが、23巻ではどうもマーレもまた圧倒的な力を持った唯一絶対の国家ではないという懐事情が描かれます。
冒頭から中東連合と呼ばれる他国連合との戦争が描かれます。
ライナー(鎧の巨人)、ジーク(獣の巨人)達の活躍で何とか勝利をものにするマーレ軍ですが、相当に苦戦を強いられています。
マーレの巨人の力にものを言わせたゴリ押し戦法が他国(マーレ以外の国家)の軍事力の発展に通用しなくなってきていると語られるシーンがあります。
陸軍戦力は最強であっても、マーレの海軍力がポンコツ。さらに航空機の発展によるさらなる戦況の悪化を憂う会話が出てきます。
純粋にエルディア人によるマーレ支配の打倒で物語が終結するのではと予想していたのですが、マーレの外の世界も描かれ始め、ぐっと物語世界が広がってしまいました。
本当これ、どうなっていくんでしょうか?
ライナーの目的
22巻の感想で書いた「ライナーの目的は一体何なのか?」という問いには回答がでました。
予想通り、エルディア人の解放でした。
ただ想像以上にマーレによるエルディア人支配が強烈だと感じました。ライナーやジーク達、もっというとベルトルト、アニ達知性巨人の力があればマーレ打倒も叶うのではと思っていたのですが、マーレによるエルディア人の管理はずっと強固であり、また教育(大陸のエルディア人は善、パラディ島へ渡ったエルディア人は悪)も徹底されているのでしょう。
ライナーにしてみれば大陸のエルディア人は全て人質に取られているような感覚のようです。
ジークの目的
ジークの目的についてはまだ底が見えないですね。4年間凍結されていたパラディ島への始祖の巨人奪還作戦の再開をマーレ側に認めさせます。
マーレの為と押し通したその提言ですが(全ての巨人を操る始祖の巨人の力で周辺国への軍事的対抗力を保つとの名目)、その真意は計りかねます。
ジークが巨人能力的にもかなりの特異点となる人物であることが描かれましたが、その行動原理はまだまだ謎が多いです。
この後の展開は?
おそらく次巻ではパラディ島とのお話となるのでしょうが、さてどうなるか楽しみです。
結局は同じエルディア人であり、どれだけマーレに寄っていようとその力からの解放を目的としているライナー達ですからただ殺し合いになるとは思えないですから。
ライナーが何かにつけてパラディ島での生活に愛着を持っているような描写がなかなか面白かったです。なんやかんやライナーは可愛いキャラクターですね。
やはりテーマは「自由」その形は?
エレンが求める「自由」
そしてライナーも求める「自由」
エレンは壁という制約からの解放を意味した「自由」を、ライナーはマーレの支配からの解放を意味する「自由」
どちらも本当の意味での「自由」というよりも外圧からの解放の意味合いが強い。
その点で二人はすごく近い。
壁を出て、島を出て、エレンは何を思うのか?
マーレの支配を脱したライナーは何を思うのか?
アルミンの目指す「自由」が二人の「自由」とはまた一線を画す部分が、今後物語にどう影響するのだろうか。