【アニメ感想】グレイプニルが面白い
4月クールで放送中のアニメMX「グレイプニル」がNetflixのおすすめ動画に上がってくるようになったので、現在配信済みになっている8話までを一気視聴。新型コロナウィルス感染症の影響で放映・配信の一時中止や遅延が多くの番組で起こっている中で、グレイプニルは安定したクオリティでの放送が続いている。
グレイプニルの原作はヤングマガジン増刊月刊誌「ヤングマガジンサード」にて2015年から連載されていて、現在8巻まで単行本が刊行されている。
テレビアニメ公式サイト(http://gleipnir-anime.com/)では、「異形のSFアクション&ラブコメ」と作品が紹介されているが、、、
自称宇宙人が能力を授けるという部分で「SF作品」に分類されているのかと思うが、いわゆるSF的なアイデアやロジックはアニメ8話までに描かれてはいないし、ラブコメと言われるほどコメディ要素は多くなく、どちらかというとシリアスな異能力バトルものである。
能力バトルものといえば、もはや散々こすられたジャンルの作品で、名作と呼ぶにふさわしい作品もたくさんある。個人的には各人が能力の特性を活かした戦い方やアイデアによる攻略が描かれる作品が好きだが、その点でいえばグレイプニルは能力ゴリ押しのバトルが多いく内容なのだが、、、
それでも私はグレイプニルにはまった!
まずは登場人物たちの能力なのだが、単純な肉体強化のものから植物を育てるもの、透明になる能力、裏切ると死ぬ契約など、わりと何でもアリとなっている。空間操作や時間操作的なとんでも能力発言するキャラクターが出てきてもおかしくないかなといった様相。
そんな中で、主人公の修一の能力は「犬の着ぐるみ」になる能力。
着ぐるみに変身することで肉体は強化され、嗅覚も以上に向上するらしい。さらには本能的・野性的に人格が変容する?かの描写も一部挟まったが、現在までの描写を見るにあまり重要なようには描かれていない。
しかし修一の能力はそれだけではなく、他の人間をその着ぐるみの中に入れることができるのだ!
基本的にはヒロインである紅愛(クレア)が中に入るのだが、その初シーンというのが、クレアが変身修一の背中にチャックを見つけ、開けてみると中が空っぽと判明。いや、アニメの描写的には空っぽというよりは肉肉しく描かれているのだが。そして中身空っぽの着ぐるみなら入れるんじゃね?ということで中に入ってしまう。
さらに中に入ると、、、お互いの記憶や感情までも共有してしまう、まさに身も心も合体!といった効果があり、ペアになることで戦闘能力も向上するのである。
何気にこの修一の能力、さらにはクレアが修一の中に入るという流れに狂気を感じてしまった。男女合体ものといえば「アクエリオン」だとか「ダーリン・イン・ザ・フランキス」だとかあるにはあるが、これほど生々しいのは新しさを感じる。全く違うといえば違うのだが「女子攻兵」的な狂気感を感じる。
そして、この「中に入る」「合体」という描写も含め、作品全体にエロ要素が満載である。このエロ要素にはクレアがやたらと服を脱ぎたがるという性格も含まれたり、レズビアンである紗耶香とクレアの絡みであったりと、、、いわゆる青年誌的な意味のないエロ描写が多く、、、その点については無条件に嫌悪感を抱く方もいるのではと思う。しかし、着ぐるみ修一の中に入る女の子(基本的に中に入るのはクレアだが、8話の段階でクレア以外に千尋というポッと出の女の子がいきなり修一の中に入っている。しかも全裸で)のシーンは「アクエリオン」でのわかりやすい「気持ちいい〜」といった描写でも、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」のあからさまな性交を想起させるものでもないのに妙にエロく、文学的な官能感を感じるのだ。
ストーリー部分については、かなり早足で進むイメージ。それは原作由来のものなのかアニメに限ったものなのかはわからないが、とにかく話の展開が早い。
早過ぎてついて行けないくらいに(笑)
クレアの姉であり、修一を着ぐるみ姿に変えた、そしておそらく修一の記憶喪失(記憶の書換え)の秘密を知る(もしくは当事者)である最重要キャラクターの江麗奈(エレナ)も、散々重要人物感を匂わされたとかと思うと、あっさり登場し、結局何が何だかわからないまま話が進んでいく。
うまく謎と謎が噛み合って、、、というよりも行き当たりばったりで物語を転がしている色が強い。
つまりは原作由来のものなのかもしれない。
そもそも全ての始まり、元凶であろうラブホテル脇で生活する自称宇宙人についての情報が少な過ぎるにも関わらず割と存在を受け入れられていたり、登場人物の行動理念が無茶苦茶だったりバラバラだったりするのだが、それを差し引いても続きが気になる作品ではある。