【アニメ感想】『ダーリン・イン・ザ・フランキス(ダリフラ)』面白いのか? 面白くないのか?【評価】

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前クールからの2クールアニメ、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』(通称ダリフラ)折り返した所で感想・評価を。

 

トリガー&A-1のタッグということでハイクオリティアニメになることは前評判から間違いなかった。トリガーが作るロボットアニメということでガチ路線でいくのか、それともノリ重視のコメディ路線で来るのかと考えていたのですが、ガッチガチのガチ路線でした。

 

トリガーの母体と言えるガイナックス作品の中で言っても、今石洋之が監督を務めた『天元突破グレンラガン』よりガチ。『トップをねらえ!』よりもガチ。『フリクリ』よりもガチな作品。ともすれば『新世紀エヴァンゲリオン』級のガチ作品で度肝を抜かれた(いい意味で)

 

1話視聴段階で『まどマギ』以来のガチ作品が、しかもロボットアニメが来た! と興奮を覚えたのだが、世間の評価はそこまでではなかった。

 

否定的な意見として多く見られたのは「パクリ」という表現。

エヴァ」「グレンラガン」「スタードライバー」なんかの名前を並べて「ダリフラ」をパクリ作品と評する書き込みやツイートをしばしば目にしたが、自分としてはそうは思わなかったし、思わない。

エヴァ」のパクリとか言っている人は本当に「エヴァ」を見たことがあるのか? とさえ思える。パイロットスーツが似ているくらいしか共通点が見当たらない(現状。後述)

グレンラガン」のパクリという意見も、そりゃあ製作陣がほぼ一緒だからそりゃあそうでしょうと言ったところ。

スタードライバー」のパクリと言っているのはやや共感ができて、いや、全くパクリとは思っていないのだが、「ダリフラ」のロボットである「フランクス」を初めて見た時に、自分も「スタドラ」の「タウバーン」を思い起こしたから。

 

そんなものなので、世の評価など関係なしに個人的には久々に熱くなれる「神アニメ」が来た! と興奮していたのだが、序盤〜中盤の展開にやや熱が冷めることになる。

 

盛り沢山の設定も人間関係に終始

 

この物語、基本設定がかなりハード。

まず人類は地上での生活が不可能なほどに環境汚染が進んだとされる世界。プランテーション内でなんとか生活をする人類だが「叫竜」と呼ばれる謎生命?に襲われている。

「大人」と言われる人類の生活を叫竜から守るために「コドモ」達は叫竜と戦っている。

しかしここでの「コドモ」はいわゆる「大人」に対する「子供」ではなく、全く別種の存在であることが示唆されている。

何となく「ナウシカ」の旧人類と新人類の関係を思わせる。叫竜と蟲も何か似たものを感じさせる。

とにかくまだまだ語られていない、明らかになっていない設定がたくさんあるのだろうが、これがなかなか明らかにされない。部分部分でかなりキーとなりそうなシーンやセリフが挟まれるのだが、どうにも暗示的であったり、限定的に語られるのみで、全てがすっきりしない。

この辺り考察班にとっては燃え所なのだろうが個人的にはもう少し色々と見せてくれてもいい頃合いなのではと思うのです。

 

で、そういったすでにまとめきれるのかが不安なほどに広がった風呂敷の中で、メインストーリーは登場キャラ達の人間関係に終始しているのが個人的に停滞感を感じる部分なのです。

「何か色々面白そうな要素が詰まっているけど、実際痴話喧嘩繰り返してるだけ!?」というのが今のところの感想。

おそらくは男女の関係。恋愛、生殖といったものがこの物語の根幹になるのだろうけど、そこをメインに据えられても…という困惑が、今ひとつこの作品が跳ね切らない原因に思える。

数々のSF的設定、「叫竜」という的との戦闘さえもドロドロ人間関係の小道具に成り下がってしまっているのだ。

「来週はこの先どうなるのだろう?」というアニメを見るワクワク感の向かう先が、世界観を含めた物語の大きな流れに向かうのではなく、ヒロとゼロツーの関係、そこにイチゴやゴローを含めた関係に向かってしまっているのが非常にもったいなく、つまらなくなってしまっている。

 

向かうべき展開

 

とはいえ15話終了時点でようやくヒロ、ゼロツー、イチゴの三角関係には一旦の決着がついたように思える。

七賢人も色々と語り始め、多くのキーワードが15話では飛び出した。

ここから物語の展開が一気に変わるとなると加速度的に面白くなると思われる。

七賢人の目的が叫竜の殲滅に終わらないのは確定的で、エヴァでいう「人類補完計画」的なものなのか、ナウシカの「腐海による大気洗浄」的な話があがってくるのかわからないが、このまま叫竜と戦って終わりという事は決してないだろう。

「コドモ」達は必ず「大人」達と向かい合う事になるのだ。

ここからの展開は非常に楽しみである。

 

ただ本当に何とかして欲しい叫竜の魅力のなさ

 

色々と文句も書いたが、自分としては概ね「ダリフラ」を楽しんでみている。

ただ、ひとつ。

本当に納得のいかない、何とかして欲しい所は、叫竜の魅力のなさだ。

毎週毎週戦っているのに、叫竜に魅力が全くないのだ。

無に近い。

叫竜に魅力も緊張感もないので当然戦闘シーンも盛り上がらない。

一応毎回特殊能力を持った叫竜が現れ、倒し方も工夫されたりするのに全然面白くない。

エヴァ使徒のようにとまでは言わないが、もう少し魅力のある姿で叫竜を描けなかったのかが非常に残念だ。

なんやかんや、ロボットものである以上、「今週のびっくりどっきりメカ」的な展開が熱いんだからさぁ。

改めて思う。

その点エヴァって面白かったなぁ。。。

 

19話感想書きました。少し謎部分を整理しています。

 

masha01.hatenablog.com

 

『進撃の巨人』23巻感想ー広がる世界。自由の形。

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進撃の巨人23巻が発売されたので感想を。

22巻の感想で書いた疑問(謎)の答えが結構出てきた巻になってました。

個人的にはすごく面白かった!!

次の展開への期待が高まる内容となりました。

 

 

masha01.hatenablog.com

 

まずは表紙の「誰だ? こいつら!?」から

22巻感想では青い表紙デザインがすごくいいと書いたのですが、23巻表紙は「進撃の巨人」らしいこってりとした表紙に。

で、「誰? こいつら?」

となるわけですが、読み始めても知らないキャラクターが戦っていて「誰これ、何これ?」状態。

結論からいうと、パラディ島から離れた大陸の、4年後のお話です。

ネクスト世代の巨人候補達と渋いおじさんに成長したライナー達のお話。

 

 

パラディ島~マーレ~広がる世界。

22巻で、パラデイ島を離れた大陸でのエルディア人の大国マーレによる支配が描かれました。

22巻読了時ではマーレは超大国。超軍事国家、支配国家というイメージを持っていました。

確かにそれは間違いではないのですが、23巻ではどうもマーレもまた圧倒的な力を持った唯一絶対の国家ではないという懐事情が描かれます。

冒頭から中東連合と呼ばれる他国連合との戦争が描かれます。

ライナー(鎧の巨人)、ジーク(獣の巨人)達の活躍で何とか勝利をものにするマーレ軍ですが、相当に苦戦を強いられています。

マーレの巨人の力にものを言わせたゴリ押し戦法が他国(マーレ以外の国家)の軍事力の発展に通用しなくなってきていると語られるシーンがあります。

陸軍戦力は最強であっても、マーレの海軍力がポンコツ。さらに航空機の発展によるさらなる戦況の悪化を憂う会話が出てきます。

純粋にエルディア人によるマーレ支配の打倒で物語が終結するのではと予想していたのですが、マーレの外の世界も描かれ始め、ぐっと物語世界が広がってしまいました。

本当これ、どうなっていくんでしょうか?

 

 

ライナーの目的

22巻の感想で書いた「ライナーの目的は一体何なのか?」という問いには回答がでました。

予想通り、エルディア人の解放でした。

ただ想像以上にマーレによるエルディア人支配が強烈だと感じました。ライナーやジーク達、もっというとベルトルト、アニ達知性巨人の力があればマーレ打倒も叶うのではと思っていたのですが、マーレによるエルディア人の管理はずっと強固であり、また教育(大陸のエルディア人は善、パラディ島へ渡ったエルディア人は悪)も徹底されているのでしょう。

ライナーにしてみれば大陸のエルディア人は全て人質に取られているような感覚のようです。

 

 

ジークの目的

ジークの目的についてはまだ底が見えないですね。4年間凍結されていたパラディ島への始祖の巨人奪還作戦の再開をマーレ側に認めさせます。

マーレの為と押し通したその提言ですが(全ての巨人を操る始祖の巨人の力で周辺国への軍事的対抗力を保つとの名目)、その真意は計りかねます。

ジークが巨人能力的にもかなりの特異点となる人物であることが描かれましたが、その行動原理はまだまだ謎が多いです。

 

 

この後の展開は?

おそらく次巻ではパラディ島とのお話となるのでしょうが、さてどうなるか楽しみです。

結局は同じエルディア人であり、どれだけマーレに寄っていようとその力からの解放を目的としているライナー達ですからただ殺し合いになるとは思えないですから。

 

ライナーが何かにつけてパラディ島での生活に愛着を持っているような描写がなかなか面白かったです。なんやかんやライナーは可愛いキャラクターですね。

 

 

やはりテーマは「自由」その形は?

エレンが求める「自由」

そしてライナーも求める「自由」

エレンは壁という制約からの解放を意味した「自由」を、ライナーはマーレの支配からの解放を意味する「自由」

どちらも本当の意味での「自由」というよりも外圧からの解放の意味合いが強い。

その点で二人はすごく近い。

壁を出て、島を出て、エレンは何を思うのか?

マーレの支配を脱したライナーは何を思うのか?

アルミンの目指す「自由」が二人の「自由」とはまた一線を画す部分が、今後物語にどう影響するのだろうか。

 

 

 

 

アニメ『正解するカド』4話まで感想ーヤハクィザシュニナの真の目的は何か?

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Amazonのプライムビデオで配信されていることから何となく4話までを一気見した。

あらすじからゴリゴリのSF設定に釣られて。

 

シリーズ構成・脚本は野崎まど

『[映] アムリタ』で電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビューした小説家。

『2』に連なる作品群と早川から出版された『know』は読了済。

メディアワークス文庫からのシリーズは天才やら作家AIやら殺人事件やらと、当時は「あ~、西尾維新っぽいなぁ」と感じた記憶。

『know』は異能力バトルものですね。どうもライトノベルっぽさが強く、特別入れ込みはしませんでした。

 

とわいえアニメとの親和性は高いのかなと思っていたのですが、これがいい意味で期待を裏切られた内容。

人類をイノベーションさせるという地球外生命(作品内では「宇宙外」と言われている)とのファーストコンタクトもの。と、かなりハードな内容です。

まず主人公が30歳のおっさんというところにも期待が持てます!

ただまぁ、地球外生命のヤハクィザシュニナのキャラデザが美男子過ぎるのがやや気に入らない点ではありますが。。。

何かキービジュアルだけ見ると腐女子向けのアニメっぽく見えませんか?

その辺りやや損をしている気がします。

 

そしてこの作品。この前『009 Re:Cyborg』でも書いたんですが、セル画風フルCG作品になってます。アニメ『シドニアの騎士』と同じ例の手法です。

アニメーションの手法として個人的にこれ好きです。

あとエンドロールで「Unityエンジニア」という欄が気になって調べてみたところ、カド内部の構造はUnityで作ったものを撮影しているそうです。なんでもmayaで作っちゃうと動画が重くなり過ぎてしまうためだそう。

Unityって何でもできるんだなと地味に感動しました。

 

で、お話の方で気になったことと今後の展開予想。

「人類を進歩させる」ために宇宙の外側からわざわざ羽田空港にやってきたヤハクィザシュニナですが、彼の真の目的は何? というのが僕の感じる一番の疑問です。

本当にただ人類に尽くすためだけの世話好きさんとは思えないので。

そういう意味ではまどマギのきゅうべえのような真の意図みたいなのが隠されているはずなのですがどうなんでしょうか?

そもそもこのヤハクィザシュニナはかなり胡散臭いキャラクターです。

「人類を進歩させる」「人類に似合うものを私は知っている」等と偉そうなこと言うものの、あまり人類のことを理解していません(笑)

人類代表との初会談の際の準備に必要な時間を定めるシーンが以下。

 

ヤハクィ「6秒」

新道「短い」

ヤハクィ「(新道を見つめる)……1分」

新道「ダメだ」

 

というシーン。

人類の情報の伝達速度や精度にやたら強いこだわりを見せるくせに人類の行動のスピード感を全く理解していない。。。

ヤハクィとのスピード感の違いを示したかったのかもしれないとも考えたのだが、このヤハクィさん。基本的にトロいです(笑)

カドに取り込んだ人の現実世界への変換もトロいし、ペットボトルを掴むのもトロい。例のシーンも新道を見つめている間に6秒くらい経ってます。

 

そんなヤハクィさん。3話ラストでは「ほぼ無限に」電力を供給できるという「ワム」なるものを人類に与えると言い出します。

この時点で「ワム」保有の分配法などの問題に視聴者側も予測がつき、案の定4話では国連がいちゃもんをつけてくる展開に。

まぁそりゃあ国家、民族間で取り合いになるよな、その問題を取り払うために「ワム」を人類にあたえたんでしょ? と見ていると、このヤハクィさん。国家について勉強したの最近でした。

え!?

しかもドヤ顔で「私はこの数日で国というものを観察し、学習した!」とか語ります。

いや、知っとけよ! と思ってしまったわけです。

 

とまぁ、どこか抜けている感じのするヤハクィさんですが、彼が進歩させるという人類の新しい姿。そちらの予想は大体見当がつきます。

それはみなが「過剰なパンを分け与えられる存在」へ導くことでしょう。

そのことはヤハクィが繰り返し語っている部分ですから。

となると最初の疑問。「ヤハクィの真の目的は?」という部分の予想として、「①人類は宇宙の外側の存在からみて過剰な何かを持っている」そして「②その過剰な何かが宇宙の外側では不足している」「③人類にそれを分け与えさせる」というのがヤハクィの目的ではないでしょうか。

その何か、は今の所見当もつきません。

あ、今これを書いてて思い出したのですが「考え続けることが大事だ」みたいなことも言ってたなぁ。ん~、それも重要なセリフな気がします。

 

ともかくまだ4話。あと数話は「ワム」絡みのすったもんだが続きそうですが、落とし所が気になるアニメになっています。

 

どうでもいい話ですが、タイトルの『正解するカド』ってダサいしよくわからないですね。

カドは変換器とのことですがカドが正解する??

ちょっとよくわからないです。

英語タイトルは『KADO:The Right Answer』

これはまぁわかります。

わかるんですが、カドにフィーチャーし過ぎ?

まだまだ謎です。

どっちにしても「カド」ってネーミングはダサい。

「ワム」はかっこいいのに。

 

 

 

 

 

 

know

know

 

 

映画『009 Re:Cyborg』感想

009 RE:CYBORG

 

2012年公開アニメ。監督は攻殻機動隊神山健治

フル3DCG作品。フル3DCGのセルアニメ仕上げという手法をとっているらしい。この映像がかなり良かった。アクションシーンのモーション、撮影、演出どれも迫力あって気持ちいい。

2012年時点でこの3DCG映像があったんだなと感心した。プロダクションI.G.の作品なのでこのあと2016年にスタートする「シドニアの騎士」の映像にもこの手法が受け継がれている。アニメ映画という視点で見れば、2016年公開の「楽園追放」よりもよっぽど優れていると個人的には感じた。

とにかくこの作品で話題の003(フランソワーズ)。しっかり可愛いです。そしてエロい。MMDMikuMikuDance)の様々なモデルを見ていても思うのですが、3DCGのキャラも悪くないですね。

 

監督・脚本は神山健治。009の原作にはあまり詳しくないのですが、この作品を見る限りでは神山っぽさ全開です。00ナンバーズが各国に属しているということから、ナンバーズの立場からくるアプローチや葛藤が描かれます。といっても主にはアメリカに属する002(ジェット)に関する部分ですが。

「世界の平和と自由を守ってきたのは俺たちアメリカ人だ!」「ちっぽけな専守防衛よしとするお前(日本)がふざけるな!!」(ジェット)

「それは世界にとっての正義だったのかな?」(ジョー)

のやり取りは「攻殻機動隊2nd GIG」で描かれそうで描かれなかったアイデンティティーとナショナリズムについて初めてキャクターが語っている。

 

お話自体は世界で多発する自爆テロ。それはみな「彼の声」を聞いた人間によるもの。「彼の声」とは? アフリカで発掘された天使の化石とは? 「彼の声」=「神」=「人間の集合無意識」と予想する008(ピュンマ)。人類の自浄(リセット)を促す「彼の声」に対し、その「彼の声」に抗おうとする意志の芽生えこそ、「彼の声」=「神」の求める導きだと009(ジョー)と002(ジェット)は自らを犠牲に放たれた核ミサイルへ対抗する。

 

結局「彼の声」がなんだったのか。「天使」とはなんなのか。この辺りが全くはっきりしないまま終わるのですっきりとはしないラスト。

さらには死んだはずの002、009が生きていてみんなでよかったねエンドはテレビ版「エヴァンゲリオン」級の投げっぱなし感満載。

ラストシーンの003が水の上を歩いている描写等から死後の世界説や、ジョーの妄想説などもあるらしいが、いくつかの演出からみても、どうも劇中とラストシーンが地続きの世界であるようには思えない。

実はこの作品、企画段階では押井が監督する予定だったらしい。その際に押井はお蔵入りした「ルパン三世 カリオストロの城」の設定の流用を考えていたようで、そこにヒントがあるような気がしないでもない。「ルパン三世は実は存在しない」というのが押井版「カリオストロの城」の一つのテーマだった以前どこかで見た気がする。

また、監督・脚本の神山から考えると「電脳世界」でのお話と思えたりもする。飛浩隆の「グラン・ヴァカンス」的な戦いの物語だったのかもしれない。

 

エンドロールのラストでは月の裏側に天使の化石が眠っている映像が流れ(そしてこれがとんでもなく巨大)、さらに物語は大きさを持ちそうではあるんだが劇場サイズではそこまで描き切る時間はなかったのだろう。

興味深い設定は数々散りばめられていたので、いつか完全版として3部作程で作ってくれないかなぁ思う。

批判意見が多いようでしたが、個人的には楽しめた作品でした。

 

当初、押井が監督を務める予定だったと書いたが、降番理由が「アパートに引きこもった003と犬になった001を連れて003が世界中を旅をする」「003は58歳設定」が通らなかったかららしい(笑)

ん~、実に押井らしいのだが、そりゃ通らんよ。

どんな話になっていたのか逆に気になるレベル。。。

 

 

 

009 RE:CYBORG 通常版 [Blu-ray]

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映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』(ハリウッド実写版攻殻機動隊)感想

攻殻機動隊 ( GHOST IN THE SHELL ) スカーレット ヨハンソン ポスター

 

映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』を観てきました。

何でもアメリカではずっこけているというニュースを聞いていた中だったのですが、予告映像を見る限り、なかなかどうしてしっかりと「攻殻」していて個人的にはかなり期待して映画館へ。

 

字幕版と吹替え版の上映があり、選んだのは吹替え。

基本的に海外映画は吹替えを好んで観ます。そこにも理由はあるんですけど、そちらはまたの機会に。

では内容について。

 

序盤、その映像世界にテンション上がる!

 

冒頭、主人公である少佐・ミラ(スカーレット・ヨハンソン)の体が成形されていく様子はアニメ『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を忠実に再現されています。それは感動を覚える位に!

そして映し出される舞台となる街並み。

こちらは原作に寄せてはおらず、まんま『ブレードランナー』のリメイク都市ですね。

巨大ホログラムがやや下品に映し出される都市。

いいです! いいんですよ!!

このクリーンさのない、下品な雑多感。これこそサイバーパンクの世界観です。個人的に感じている事なんですが、iPhoneはじめ、アップル製品ってサイバーパンク感無いですよね。クリーンなイメージや単一感がそう感じさせるのでしょうか。スマホAndroid、OSはWindowsっていうのがサイバーパンクっぽいです。雑多で下品な感じ。

すみません、関係の無い話でした。

 

そして、戦闘シーンへ。

大統領?達の会食の場。で、ハッキングされたAIロボットによる襲撃現場に乗り込むシーン。

アニメ攻殻シリーズでもお馴染み、ビルの屋上より少佐が飛び降り、光学迷彩を施してガラスぶち破り突入!!

光学迷彩のノイズ混じりに壁伝いに走りながら銃をぶっ放すシーンは予告編にも収められていて、まさにそのシーンを観て「これは!!」と期待を膨らませたのですが、やっぱりカッコイイ!!

 

と、序盤はその映像世界をかなり楽しむことができました。

 

お話は押井守版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』にアニメのいい所を切り貼りしてうす~く薄めた感じ

 

中盤以降、なかなか観続けるのに忍耐の必要な展開が続きます。

話の内容は改めて書く必要も無い程度のもの。押井守版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』にそって進みます。

人形遣いがクゼという名の男に変更。これはアニメ2nd GIGからの設定流用ですね。少佐の元恋人という設定も継いでいます。そこについては改悪ともなんとも思わないのですが、問題は今作品にも押井守版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』にも共通する「電脳義体化した少佐のアイデンティティ」へのアプローチ方法。

この部分を押井版もその他アニメ版も「ゴースト」というあるのか無いのかよくわからない存在をベースに描いていきます。自分もここであるのかないのかと曖昧な事を言っている以上、よくわからないままアニメ版は話を展開させていくのですが、よくわからないから悪いという理屈にはならないのだと今回気が付きました。

実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』では、ゴーストというワードは継承しつつも、少佐のアイデンティティに踏み込む際、すっごくわかりやすく記憶の改竄を持ち出します。

電脳義体化にあたり、少佐の過去の記憶を書き換えた。という所から話が進んでいきます。

これはわかりやすい!

「偽物の記憶を持った入れ物は何者か?」

という具合です。けどそれは面白くないですよね。結論が出てしまっている。

偽の記憶を持った入れ物は、私ではない。

そして記憶を捏造した者は悪者です。

電脳空間での意識の並列による個と他の境界の希薄化と言った、まぁよくはわからないけどありそうな所から、すっごく分かりやすい記憶の問題にすり替えたのは確実に物語の深みを損なっています。

 

そして第一の敵役。今作品でのクゼは電脳義体化実験の失敗による犠牲者として、実験を行った企業への個人的復讐のためにテロを繰り返します。

やはり個人的復讐という部分に共感はあまり持てませんよね。実は情報の海の中からポッと生まれたゴーストそのものでしたという押井版「人形遣い」は一度置いておいて、S.A.Cの「笑い男」や2nd GIGの「クゼ・ヒデオ」のように理想に生きたキャラクターと並べるとどうしても安っぽい。

そして今作の真の敵に当たるハンカ・ロボティクス社(少佐、クゼに電脳義体化実験を行った企業)の連中も、その目的が社のため、純粋な科学的好奇心のためと、アツくなる理由で行動しているわけではないので魅力がないです。

そう、合田一人にはカッコよさがあった!!

 

とまぁ、残念な内容になっています。

 

キャスティング

 

キャスティングについて、はじめ予告映像を見たときにスカーレット・ヨハンソンの少佐役は納得だったんですよ!

これぞ少佐! と思ったのです。

けど、実際に本編をずっと見ているとしんどくなった。。。

なんというか、可愛くない。。。

スカーレット・ヨハンソンに向かって可愛くないなんて言ったら、じゃあ誰なら良かったんだ!と怒られそうですが。何か、ゴツいんですよ。

いや、少佐なんて作品世界では「メスゴリラ」ですから!!

ゴツいのが少佐なんですけど、、、ねぇ、、、

本当は正解! けど気持ち的にNO!! と叫びたい気分です。

 

あとはたけしさんの荒巻はアニメとのイメージに随分ギャップがありますが、凄く良かったです。ただ吹替え版では全編日本語をしゃべるたけしさんには英字幕が付くのですが、そこは日本語で出して欲しかった。

それくらい、何言ってるか分かりませんでした。滑舌の問題。

けど銃撃戦は最高にカッコ良かった。

 

よかった点

 

結構文句を書き連ねてしまいましたが、良かった部分ももちろんあります!

まずは予告映像!

 


『ゴースト・イン・ザ・シェル』 | ファースト・トレーラー

 

ぶっちゃけこれを観ればこの映画のいい所の8割方は収まっていると言えるほどいいです。あれ、これ褒めてない??

 

後は少佐が、第一の襲撃事件の際にハッキングされたロボットに電脳ダイブするシーンがあるのですが、あそこはなかなか興味深かったです。

トーに逆ハックの心配をされながらもダイブする少佐。

こういうシーンはアニメでもよくあります。

そうしてバトーの心配通りに逆ハックを仕掛けられるのですが、その描写が凄まじい。波のように押し寄せる黒い人の群れに少佐が飲み込まれようとする映像。なんとも気色の悪い、不気味な映像の途中、なんとかバトーが救い上げるのですが、ダイブから戻った少佐はまるで何事もなかったかのように「居場所を掴んだわ」と立ち上がる。

そう、この感じ。この、ダイブから戻った瞬間の少佐の感じは何度も何度もアニメで見てきたのですが、今作のこのシーンほど、訳わからないモノへのダイブ、逆ハックの危険性を映像で伝えたものはなかったです。

毎度毎度バトーさんの焦る気持ちがやっとわかりました。

トーさん、報われねぇ。。。

 

と言うのがハリウッド実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』の感想です。

個人的には残念な内容でしたが、結構好印象なレビューを見かけたりもしますので、相性の問題もあるのかもしれません。

 

あ、もう一つ良かった点。

作中に登場する車が、いかにも近未来的な流線型のボディではなく、かなり直線的デザインのものだったのが個人的に良かった!

少佐が跨るバイクも「HONDA」のロゴの自己主張が強いですが、かっこよかったです!!